第60章 夫婦の情を傷つけるな

佐伯薫は、それが自分への皮肉だと聞き取った。堪えきれず、すぐさま言い返す。

「白石さん、言っていいことと悪いことがあるでしょう。大人同士ならともかく、子どもの前では少しは配慮したらどう?」

「へえ、やることはやるのに、言われるのは嫌なの?」

白石羽奈はもともと佐伯薫に対する敵意が強い。遠慮などするはずもなく、真っ向から返した。

「佑奈。あなたがここに来たのは、あくまで試合の都合だろ。何年も専業主婦をやってたんだ、身の丈に合わない場所に居座るな。運転手に送らせる。帰れ」

有川紘樹は、佑奈が川西拓海の隣に立っている光景そのものが気に入らなかった。言い終えると手を上げ、少し離れたところで...

ログインして続きを読む